佐藤愛子さんとは?
著者は大正12年生まれの佐藤愛子さん。昭和44年直木賞、平成27年には紫式部文学賞を受賞されていて「エッセイの名手」といわれています。
平成30年4月現在94歳。11月には95歳です。
週刊誌「女性セブン」で隔週連載されていたものが本として出版されました。
「九十歳。何がめでたい」というタイトルにはヤケクソが籠っているそうです。(最後の長編小説を書きあげて「のんびり」生活をしていたら老人性ウツ病になりかけたと。連載を始めたらウツ病から解放されるのではないかと考えて連載を引き受けられたらしいです。)
28のエッセイとあとがき(おしまいの言葉)で構成されています。
失礼なのを承知で書きますが、ワタシは佐藤愛子さんのことは名前ぐらいしか知りませんでした。直木賞作家だったのですね。
母が購入したので読みたくなり、借りて読みました。
九十歳。何がめでたい がベストセラーになったワケ
確かに楽しく読み終えたのですが、なぜここまでベストセラーになったんだろう。考えてみました。
理由1:読みやすい 文字が大きい、軽快な文章
本を開いてみてまず思ったのが字が大きい!でした。
そして文章が軽快で読みやすいということ。リズムが良く、佐藤愛子さんに乗せられてような感じです。
なのでどんどん先を読みたくなり、読んでしまいました。
理由2:ネタが身近なものが多い
本に書かれているエッセイのネタは新聞の人生相談やテレビ番組、ニュースなどです。
誰もが親しみやすい身近なものが多いですね。
その中でもたびたび書かれているのが新聞の人生相談コーナーについて。
今では新聞を取っている家庭は少なくなっていますが、昔はどの家でも新聞は取っていました。
わたしも好きだった人生相談のコーナー。小学生の頃から読んでいた記憶がありますが、「嫁姑問題」「不倫」に「浮気」ちょっと大人の世界をのぞいているみたいでコッソリ読むのが楽しみでした。
コーナーの文字数に合わせるためか相談文も短く詳細まではわからないし、回答文もそんなに長くない。そんな内容にいろんなことを妄想したものでした。
今ではネットで相談したり、相談するための掲示板もありますよね。
佐藤愛子先生は新聞の人生相談のエッセイの最後はいつも回答者にはなれないと書かれています。その理由はご本人が本の中でこう書いています。
たとえ後悔し苦悩する日が来たとしても、それに負けずに、そこを人生のターニングポイントにして、めげずに生きていくぞという、そういう「覚悟」です。それさえしっかり身につけていれば、何があっても怖くはない。私はそんなふうに生きて来た。そうして今の、九十二歳の私がある。自分がそう生きたものだから、そうして後悔などしていないものだから、ひとの相談も以上のような回答をしてしまう。
九十歳。何がめでたいより引用
「覚悟」の決め方が違うのですね。何があってもめげずに生きていくぞという覚悟。四十代になっても周りに甘えてふわふわ生きているわたしには全くできていないことです。
③いろいろな世代が共感しやすい
この本を書いている佐藤愛子先生は90代。娘さんは50代。そしてお孫さんもいらっしゃいます。娘さんもお孫さんもたびたび話に出てくるので誰かの立場で読めたり、親はこうなのかと考えたり、自分もゆくゆくはこう思うのか・・・と思いながら読めるのではないでしょうか。
高齢であればネット関連の発展についていくのは難しいだろうけど、孫にはそれが当たり前。世代によって違いますよね。
わたしの母も最近ガラケーからスマホに替え、「これで置いてけぼりにされなくて済む・・・」と言っていました。「スマホなんていらない」と言っていたけど本当は欲しかったんだな。
昔懐かしい話から現代の今の話まで。これだけ書けるということは常に自分の頭でものごとを考えていることです。情報のアンテナも張っているということでしょう。
九十歳を超えてもこのパワフルさ!すごいです。
『九十歳。何がめでたい 佐藤愛子著』まとめ
全部が全部同意できる話ではないけれど(笑)楽しく読みました。
いちばん好きなのはイモッケのおはなしです。
なぜベストセラーになったのか書いてみましたが、まとめてみると結局は佐藤愛子先生の人柄と表現力だと思いました。なぜかひきつけられてしまうというか。
エッセイではない、佐藤愛子先生の本がどんな感じなのか気になります!
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