『悪い夏』染井為人著を読んだ感想です。

きっかけ

こんにちは、すいかん(@suikandokusyo)です。

 

ツイッターのタイムラインに流れてきたのがきっかけでこの本を知りました。

「何だかイヤな感じがする本」が好きなんですよね。

 

読んでみると・・・

えぇ、予定通りイヤな感じの内容でしたよ。

 

暑~い夏のお話でした。

読んだのは寒くなり始めた時期だったのですが、猛暑全開の季節に読むとイヤな感じが倍増すること間違いなしです。

 

あらすじ

佐々木守は社会福祉事務所で生活保護の担当をしている。

特に仕事に熱中しているわけでも、プライベートが充実しているわけでもない生活を送っていた。

上司からはなるべく生活保護を受ける人の数を減らす様に言われ、窓口にはなんとか生活保護を受けたい(不正受給も含め)人がやってくるのでイヤイヤ仕事をこなしてるような状態。

 

そんな中、同僚の高野洋司が受給者の若い女性からお金を巻き上げ、さらに体の関係を強要してるのではないかと同じく同僚の宮田有子から相談される。

そして事実を確認するため、一緒に調査することになってしまう。

 

その調査をきっかけに、守の人生は転落の一途をたどる。

感想&まとめ

あのですね、もう、この小説にはクズしか出てこないということをお知らせしておきます。

 

読み始めの頃は「生活保護って誰のためにあると思ってるんだ!」とか「簡単に不正受給できるのって問題だよね~」とか。

生活保護って制度を中心にいろいろ感情が動いてました。

テレビドラマでもありがちだし。

  • シングルマザーで働きたくないから生活保護を受けたい
  • 病気だとウソをついて生活保護を受けたい
  • 援助してくれる人がいないとウソをついて生活保護を受けたい
  • 生活保護という制度を悪用して資金を集めたい
  • 生活保護を打ち切らない代わりにお金や肉体関係を強要する
  • 生活保護受給者数を減らすように指示が来ているからその方向に動く

ちゃんと働いて納税している側からしたら許せないことです。

 

そして後半になってくると、「人間性」の問題に関心が変わってしまいました。

どの登場人物も自分本位。

自分さえ良ければ、助かればという考えで生きている人ばかり。

しかも他人を傷つけようが、騙そうがお構いなし。

 

主人公の佐々木守は始めは純粋な気持ちで愛美を好きになり生活をしてきたのに、結局裏切られ、はめられた。

(愛美も途中からはめている気持ちはなくなってたんだろうけど)

そのことからもう誰も信じられなくなったんだろうね。

というか、人生どーーでもよくなったのかもしれない。

 

一度足を踏み外すと転がるように落ちて行ってしまう。

古川佳澄は夫に先立たれたシングルマザーで小学生の息子がひとりいる。

ふと魔が差してやってしまった佳澄の行動で働くこともできなくなり、生きていくために生活保護を受けようと生活保護の窓口で相談する。

 

しかし、その窓口担当が人生を転げ落ちている真っ最中の守だった。

本当に生活保護が必要な状況だったにも関わらず、守は真摯に相談を受けるような精神状態でく、逆にひどい言葉をぶつけてしまう。

古川佳澄は運が悪かったとも言える。(まぁ、自業自得な部分もあるんだけど)

 

守は自分の人生も他人の人生も一瞬にして変わって(変えて)しまった。

 

そして最後は守自身が生活保護受給者になってしまう。

自分がこれまで担当してきたような不正受給者と何も変わらない。

 

読んだ後味が悪い小説でした。(キライじゃない)

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